自動車業界・ゼネコン・プラント業界の図面文書比較による業務改革
はじめに
「図面文書比較で年間数百万-数千万円の工数カットが実現できた」という嬉しいコメントを採用後に頂くことが増えている。
「設計変更指示を受けた際の指示内容のチェック」「設計変更内容の自社作成図面への反映確認」「見積の妥当性確認のための積算資料の新旧確認」は見落した場合に大きな問題となるため、作業者の大きな負担になっている。更に「在宅勤務の推進」「ペーパーレス化」により図面や文書の変更点確認は「紙への印刷が出来ない」「画面が小さい」などの問題が発生して、効率が低下している。図面文書比較の技術で、「効率化」「確認精度の向上」「在宅勤務支援」を実現している事例を紹介する。
最近ではAIで比較を試したが上手く行かないので、当社に相談を頂けることも増えている。
1.多くの業務効率化事例
当社製品は体験版を利用頂いて「図面文書比較で年間数百万-数千万円の工数カットが見込める」ということで、多くの自動車業界・ゼネコン・プラント業界のお客様にご採用頂いている。
図面文書比較製品の開発販売を開始して15年以上経つが、当初はお客様の反応は決して良く無かった。お客様は人海戦術で仕事をするのに慣れており、比較製品を採用することは、「自分たちの仕事が奪われる」と考えるお客様が多い状況であった。目視確認業務を行っている人が多く、ニーズの多い会社ほど採用頂けないという状況であった。
しかし、5年ほど前から「残業時間の抑制」「人材をより創造的な仕事に振り分ける」と考えるお客様が非常に増えてきたことで、当社製品の採用は大幅に増加した。
コロナ対策として在宅勤務を実施する会社が印刷や画面表示の問題に直面するケースが増え、比較製品の採用が増えた。最近は、AIの業務改善を検討している中で、比較製品の採用を頂くケースが増えている。

在宅勤務での課題
「図面のチェックを人海戦術で行うことは、在宅勤務と非常に相性が良い」と考えがちである。しかし、多くのお客様において、以下のような問題が発生しているとお伺いしている。
- 単純作業の連続でミスが増加
- 作業効率がだんだん低下する
- 目の疲れと精神的疲労が蓄積する
特に新人や派遣社員等がやりがいの無い作業をさせられることで退職してしまい、それが周辺の担当者の負荷を増加させる、という悪循環が発生しているケースを多くお伺いしている。
当社の比較製品を使用して単純な比較作業はソフトに任せて、創造性のある作業に人を振り分けることで、業務全体に良い効果が出ている事例が増えている。
2.図面の比較について
図面の比較製品は、紙を太陽に透かして見ることをソフトウェアが行うとイメージして頂きたい。複雑な操作は不要で、比較したい新旧の図面を画面にドラッグ&ドロップするだけである。「一致した箇所はグレー」、「追加された箇所は赤」、「削除された箇所は青」で表示される。
比較結果の見え方

処理は各PCで行う訳ではなく、専用マシンで集中して処理される。比較している際にPCで他の業務が出来ないということもなく、在宅勤務でも安心して使用できる。
ただ、単純な機能だけでは比較できない図面が多いことが、通常の比較ソフトの課題である。以下、どのような課題があるかを説明する。
3.自動車業界・ゼネコン・プラント業界の図面が難しいポイント
比較ソフトは「建設」「プラント」「金融」「自動車」「電機」業界で多く使用されることが多い。昔から紙を扱うことが多い業界で、正確性が求められる業務が多いという点が共通している。
その中でも自動車業界・ゼネコン・プラント業界のファイルは、他の業界と比較して難易度が高いポイントがいくつかある。
- 紙をスキャンしたPDF/TIFFが多い
- 設計変更時にオブジェクトを追加するスペースが不足するため、オブジェクトが移動している
- ページ数が多いファイルが多く、新旧でページの追加削除があり、単純にページ順で比較できないファイルが多い
- 仕様書などでページ数の多いPDF/Word/Excel文書があり、かつ相違点一覧表の作成ニーズもある
当社以外にも様々な比較ソフトがあるが、上記の課題が解決できず「簡単なデータは比較できるが、実務の図面や文書では期待通りの比較結果が出ない」という意見が多い。「海外製品で問い合わせをしても回答が無い」「販売停止になった」等の問題もあり、当社製品に変更頂くことが増えている。
4.紙をスキャンした図面比較の課題と解決
紙をスキャンした図面は、ペーパーレス化の流れで以前より少なくなっている傾向にあるが、建設の図面ではまだまだ多い状況である。紙をスキャンしたPDF・TIFFファイルでは、以下のような問題が発生する。
- 1. 紙に印刷すると余白部分を考慮して縮小されるため、スキャンしたPDFは少し小さくなる。プリンタのメーカーの違いや印刷時の設定によってずれが出る。
- 2. スキャン時の設定で線の太さが変わる。
- 3. 線の欠けが発生、または、ゴミデータが付着する。
- 4. 傾きやゆがみが比較を阻害する。
紙スキャン時のデータ劣化例

紙をスキャンしたデータを単純に座標だけで比較をしようとすると、位置がずれて期待した結果にならない。手で合わせる機能があっても「うまく合わない」「時間がかかる」という課題があり、目視で見ても時間は変わらないという意見がある。
Web比較システムの「ゆがみ補正比較」機能ではこの問題を解決している。ファイルを投入して、比較処理をすれば��-�い量簑蠅鮗�動で調整して比較を行う。手で合わせるような操作は不要で比較が可能である。
5.図面の一部だけ移動した図面比較の課題と解決
設計変更をする際、オブジェクトを追加するケースがある。スペースが不足している場合には、図形の位置をずらして図面を描いてしまう。単純に紙をスキャンした図面との比較難易度の違いは以下になる。
- 紙をスキャンした図面:図枠も含めて全体がずれている。全体を補正すれば比較できる。
- オブジェクトが移動した図面:図枠は一致しているが、図面内部の位置が移動している。全体を補正しても比較できない。
この問題を「移動レイアウト比較」機能で解決できる。
移動レイアウト比較の概要

自動車業界の図面でのニーズに対応した技術であり多くの自動車関連のお客様の課題を解決することができ、採用を頂けた(公表許可導入事例:トヨタ自動車様/スズキ様/ヤマハ発動機様/デンソーテクノ様 その他多数)。この技術を他の業界向け図面に適用して、業務省力化に大きな効果が出たことで、採用が増えている。
6.ページ数が異なる図面比較の課題と解決
建設業界の図面では、ビル1棟の図面が1つのファイルに結合されてしまうことがある。更に、ページの追加削除も発生しており、目視確認時間が非常にかかる。
「ページマッチング比較」機能では、追加削除されたページを自動判断してマッチングして比較できる。
ページマッチングの概要

ページ数が少ない場合は簡単そうに見えるが、「100ページの図面」と「115ページの図面」の比較かつ「追加削除の両方ある」というような状況も多い。1ファイル確認が1日で終わらないケースもある。
どのページとどのページが追加/削除/比較されたのかを一覧表で出力することも可能である。
マッチング結果一覧出力の概要

一覧の該当ページをクリックすると、比較の新旧ファイルや比較結果ファイルにリンクして確認できるため、チェック作業を大幅に効率化が可能である。お客様によっては、ページの追加削除のリストを作成しているようなケースもあり、大幅な時間短縮を実現している。
7.差分を雲マークでマークアップする機能
図面を比較する際には、「一致をグレー」「追加を赤」「削除を青」にマークアップするのが標準の機能であるが、建設・プラント業界では、「雲マーク付与」のニーズがある。
- カラーだと印刷コストが高くなるため、印刷が白黒前提なので、色でのマークアップでは困る。
- 業界・会社・部署の慣習で、新図面に差分を雲マークで追記するルールになっている。
- 差分がわずかの場合に、どこが異なるかを見つけることが出来ない。
要望に対応するために、差分箇所に雲マークを自動で付与する機能を提供している。新ファイルに雲マークを付けたいというニーズにも対応をしている。
差分に雲マーク自動付与したサンプル

雲マークはPDFの注釈で実現しているため、削除やサイズ変更も可能となっている。PDFソフトを使用して手作業で雲マークを付与するのは、かなり面倒であり、雲マークを付ける作業の大幅な省力化を実現している。
8.比較結果をレイヤ出力して数値の変更を簡単に確認
電設/電気工事の図面の比較の際には、数値や形状が変更になっており、旧図面と新図面の内容が簡易にわかることが要求されるケースがある。旧図面/新図面/比較結果をレイヤ出力して、簡単に比較結果と新旧図面を切り替えて確認できる仕組みが活躍する。
レイヤ出力で参照を簡易にするイメージ

AdobeReaderの標準レイヤ機能を使用しているため、誰でも簡易に利用できるのが大きなメリットである。
9.Word・Excel・PDFなどの文書比較
生産工程表や品質管理表や積算表や仕様書やExcelの表など、図面以外でも比較が可能である。
文書比較であれば、Wordの比較機能やフリーソフトでも可能なのではという意見を持っている方は多い。しかし実際に試用して頂くと、当社製品で大幅に効率化が実現できるという判断を頂き、採用して頂くケースが多い。
- 単純なDIFFと異なる高度な比較ロジック
- 大幅なページの追加削除などにも対応
- Excelのセルの追加削除等にも対応
- テキスト付PDFとWordの比較など、書式の異なる文書の比較も可能
- ページ数の異なる比較結果も必ず左右に表示する機能
- 差分箇所がどこにあるのかを確認できる相違点一覧表(Excel/PDF/HTML)を自動出力
10.書式の違う文書比較
Web比較システムにおいては、新旧で書式の異なる文書においても比較が可能である。
ExcelとWordの比較やExcelとPDFの比較などを行うことも可能である。
最新の機能では、文書の一部分だけを切り出して比較を行うことで、差分のある部分を無視して比較することも可能となっている。
これまでは上手く比較できなかった複雑な文書の比較も可能となっている。
11.文書比較の相違点一覧出力機能
会社によっては相違点の一覧表を作成しているケースもある。Web比較システムでは相違点一覧を自動で出力することが出来る。
相違点一覧自動出力イメージ

単純な相違だけでなく、前後の文章も含めたExcelファイルとして相違点一覧が出ることで、大幅な業務省力化につながる。
12.Web比較システムの多彩な機能
ここまで説明した機能を「Web比較システム」で活用することが出来る。「Web比較システム」は社内サーバやワークステーションで稼働する。クラウドサービスでは無いため社外にファイルが出ることは無い。
Web比較システムの操作概要

- 各PCにソフトインストール不要、ブラウザだけあればOK。だれでも使える簡単操作。
- 大量処理を夜間に行う運用も可能
- ユーザ数に依存しない運用が可能
集中処理とメール通知機能概要

- 比較終了時にメールで通知
- LDAP/ Active Directory と連携
- 図面はPDF・TIFF、文書はPDF・Word・Excel・DocuWorks等の比較が可能
13.体験版を利用して効率化を確かめる
Web比較システムは体験版を試用して、業務改善効果が確実に出ることを判断して頂いてからでないと販売できないルールとしている。
社内環境にインストールして使用して頂くケースと、マシンが用意できない場合には製品がインストールされたマシンを貸し出すサービスを行っている。実業務で数か月間試して頂いて、効果があるかを確認頂いている。
おわりに
比較は新旧の2ファイルが必要であるが、1ファイルの時点でのチェックの要望も増えており、以下のようなニーズにも対応している。
- 変更点等の記号を発見しマークアップ
- PDFファイルが発注者の納品基準を満たしているかの事前チェック
- 図面のデジタル化・データの再利用
図面比較や文書比較は、AIを使用しなくても100%の結果を出力できるよう技術が確立されている。AIは答えが100%確定していないものに活用した方が効果が高い。答えが100%確定するものにAIを利用することで、AIの判断が逆に精度を落とすリスクが発生する。AIでの図面比較や文書比較を検討していたが、上手く行かなかったという皆様はWeb比較システムのご検討をお勧めする。
